心に残るBGM

ゲーム好きな自分の思い出深いフィールドBGMを紹介します。

 

1. 『Second Run』 / Tales Weaver

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どことなく聴いたことがあるような懐かしさを感じさせ、後半は力強いピアノの旋律が耳に残る曲。この作品は2004年にリリースされたWindows向けMMORPG。「Tales Weaver 」で検索するとサジェストの一番上に「bgm」が出てくるほど、良曲が揃っている。

 『Second Run』は「クライデン平原」の夜にしか流れず、尚且つこの場所には複数のBGMが設定されているので待たないと聴くことができない。それだけに、この曲が初めて流れた時にプレーヤーは聞き入ってしまう。1ループも短いので、マップ上で狩りをしているとあっという間に過ぎ去ってしまう刹那的な曲でもある。

 

*オープニングで流れる『Till the End of Infinity』などにもこの曲のフレーズが使われている。オリジナルサウンドトラックは4枚組みで120曲もあり、名曲ばかり。他プラットフォームにも移植され、スマホ版もリリースされているが日本では未対応。2021年現在、日本展開に向けて開発中らしい。

 

 

 

2. 『風の憧憬』 / クロノ・トリガー

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ファミ通調べの平成No.1ゲームに輝いたSFC神ゲークロノ・トリガー』の代表曲。

 作中時間軸でA.D.1000年の「現代」から400年前の、「中世」のフィールドで流れるBGM。懐かしさや儚さを感じる美しい音色と、光が差してくるような高音が特徴。

 

イナズマイレブン』や『ゼノギアス』なども手がける作曲者の光田康典にとっては、スクウェアに入社してから初めて作曲を担当した作品で、「全てを賭けて作った」という趣旨の発言を残している。

 

*清水翔太の『風のように』という曲でサンプリングされている。こちらも隠れ名曲。

*砂漠に緑を復活させるベく中世に留まって400年間森を耕し続けた「ロボ」を、タイムマシンで現代に戻った主人公が回収する場面は涙なしには見られない。紹介した動画内でも左下の大陸で働き続けるロボが映っている。

 

……オオ……クロノ…… ナ……ナツカシイ……。

 イヤ……、アナタ方にとってハ イッシュンの事だったのデスネ。 

シカシ、ワタシニとっては 400年ハながい時間デシタ……。

 シカシ、クロウのかいアッテ森ハよみがえりマシタ。

……サア、今夜ハ、 400年ブリのサイカイをいわおうではアリマセンカ。

 

*このゲームはスマホ版にも移植されているが、フォントや操作性が微妙なのでDSかSFCでやってほしい。

 

 

3.『森の静寂』 / BAVELY DEFAULT

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神秘的な森を優しい音色で表現する前半から始まり、後半は不気味さや悲壮感、焦燥感も感じさせるBGM。この作品内の特定のダンジョンで流れる曲だが、超えた先では結構な確率で悲劇が待っている。

 パーティメンバーの会話以外は非常にシリアスな世界観でストーリーが進むため、どこか緊張するような曲が多い本作。森の木漏れ日のような安眠BGMが、徐々に不吉の前兆のように展開していくこの曲はその好例かもしれない。

 

*作曲者は『進撃の巨人』でお馴染み「Linked Horizon」の別名義である「Revo」。彼が手掛けた本作のBGMは非常に人気で、中でもラスボスの戦闘曲である『地平を喰らう蛇』は「みんなで決めるゲーム音楽ベスト100」に毎回ノミネートされる(最高順位4位)。

4:35付近から各キャラクターのテーマ曲のアレンジがメドレーのように組み込まれた名演出。

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*続編の『BAVELY DEFAULT Ⅱ』が2021年2月26日にSwitchで発売される。

 

 

4. 『SUNSHINE COASTLINE』 / イース

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名曲製造機ファルコムの中でもBGMに特徴のあるイースシリーズの8作目。本作の冒険の舞台である「セイレン島」のエリアの中で最初に踏み込むフィールド「名知らず海岸」のBGM。

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「名知らず海岸」という名称通り主人公は未知の島を旅することになるが、胸中にあるのは恐れや不安ではなく、未開の地を進もうとする好奇心。ギラギラと照りつける太陽の元で冒険がスタートする期待感や疾走感と、海岸沿いの美しい景色が爽やかなロック調で表現されている。

 

*敵とのエンカウント時にはシームレスに戦闘に移るため、ここにいる間は流れっぱなし。ギターのカバー動画もYouTubeに多く上がっている。

 

*真EDのラスボス戦で流れる『A to Z』も良曲。

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 真っ暗な中での戦闘を強いられる主人公たちだったが、この曲のイントロとともに辺りが明るくなり、「夜が...明けただと?」という味方の台詞とともにウユニ塩湖のような風景の中で最終決戦になだれ込む。

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5. 『汽車フィールド』 / ゼルダの伝説-大地の汽笛-

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海上や雪山など、あらゆる場所にあるダンジョンや村まで汽車でゆっくり移動するこのゲーム。フィールドBGMは飛空艇や船ではない汽車ならではの、のどかな曲となっている。

 標識を守ったり迫り来る敵を跳ね除けたりしながら進む必要があり、当時は賛否両論のシステム。それでも、オートで移動しながら360°自由に動かして世界を見渡せるカメラワークや、合図や退敵のために汽笛を鳴らすのはとても面白かった。

 

『ブレスオブザワイルド』が神ゲーと言われるが、それ以前の作品も最高なのでやってほしい。自分は『大地の汽笛』と同じくDSで発売された『夢幻の砂時計』が一番好き。この作品は船で島々を渡るシステムが採用されている。

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7. 『10番道路』 / ポケモンBW

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 過去記事で解説済み。ストーリー後半で流れる「ポケモンぽくない」名曲。

主人公や幼馴染の成長と、それに伴い離れ離れになっていく3人。決戦への覚悟や、迷いを振り切ってフィールドを進む開放感など、複雑なストーリー展開を巧みに表現している。

 

*ポケモンの道路のBGMは最近リメイクが発表されたダイヤモンド・パール『209番道路(昼)』とこの曲が人気を二分しているイメージ。

www.youtube.com

fujimaki304.hatenablog.com

 

 

FFとドラクエは良曲が多過ぎるので機会があれば別の記事で書きます。

『10番道路』

1投稿目。自分の好きなゲームのBGMについて書きたいけど超有名どころを今更解説してもなあってことで、

 

ポケモン第5世代であるブラック/ホワイト(BW)の物語終盤に訪れ、シリーズ屈指の人気を誇る『10番道路』のBGMについて書きます。

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人気の理由はストーリーとの連動性。

本作品の主人公は10歳で、「カノコタウン」から「1番道路」へ幼馴染のチェレン、ベルと同時に一歩を踏み出して冒険をスタートさせる。

 

チェレン『ベルがね
たびを はじめるなら
さいしょの いっぽは
みんな いっしょが いいって』

ベル『ねえ ○○!

みんなで いっしょに
1ばんどうろに ふみだそうよ!』

チェレン『じゃ いくよ!』

#3人並んで
『せーの!!』

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そこから旅を続ける主人公は各地で2人と出会い、ポケモンバトルで対戦することになる。気弱なベルは親離れや弱さの克服を、賢いチェレンは強さとは何かを求める中で成長していく。そして、「ポケモンリーグ」に挑戦する資格である8つの「ジムバッジ」を集めた3人は、10番道路で再開を果たす。

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旅の道中では、ポケモンと人を切り離して世界征服を企む悪の組織「プラズマ団」による陰謀が渦巻き、ポケモンと人との関係について考えさせられる。

人がポケモンを従えて強くなることを目指すのは当然だとするチェレンと、本当にポケモンを道具のように使っていいのだろうかと悩むベル。

それに主人公も含めて最終決戦へ赴く直前に通る草原チックな道で、チェレンとのバトルの勝利後に以下の会話が為される。

 

ベル『それにしても おもしろいね
みんな ばらばらで』

チェレン『おもしろい?
こんなときに きみは……』

ベル『はい チェレン
すこしは わらおうよ

しんこくな かお するだけじゃ
なんにも かわらないんだから

えーっとね あたしたち
ポケモンと であってから

おなじ みちのりを あゆんだのに
いろんなことが あって……
みんな すごく かわっちゃって

やりたいことも
できることも べつべつ でしょ?

でも それって
たびの いみが あったんだなあ
って なんか うれしくなったの』

 

仲良く最初の一歩を踏み出した3人の少年たちは、バラバラに旅をする内に成長し、いつしか異なる自我や考えをもつ青年になっていた。各々が辿った道、そして歩んでいく人生が決定的に分岐してしまったことを実感する切ない台詞。

 

チェレン『……そういうことか

……たしかに ぼくたちは みんな
ちがうわけだし それぞれの
できることを すれば いいんだよね』

チェレン『……みんなに とっての
りそうとか しんじつって
みんなの かずだけ あるからね

だけど だいじな ときには
たすけあえるのが ふつう なんだ

だから ひとと ポケモン
いつも そばに いるんだって
さいきん おもえるように なった……

○○!
アデクさんや きみに
なにか あったとき

ぼくが たすけられるように なる
そのために つよくなる

だから ムリ するな』

チェレン去る

ベル『いっちゃった!

○○!

あたしも
あたしに できること するね

だから……
えーっと……

こういうとき かっこいいこと
いえたら いいのに……

えーっと!
おたがい がんばろうね!!』

#ベル去る

 

道は違えどそれぞれの方向性が定まり、迷いがなくなり、また一つ成長した3人。

チェレンに勝利した主人公(プレーヤー)はプラズマ団の陰謀を阻止するという使命を自覚し、ポケモンリーグ、そしてその先に待つ黒幕との最終決戦へと赴く。

 

 

まとめ

・映画『Stand By Me』のような少年から青年への成長

・1番純粋で楽しくて、戻りたくても戻れない少年時代を偲ぶ切なさ

・幼馴染と再開し、歩んできた道やその後の人生の決定的な隔たりを自覚した哀しさ

・最終決戦に挑む主人公の覚悟

ゼルダの伝説ファイナルファンタジーのBGMにも似た、広い世界を旅する開放感

 

これらを包含していることが、「10番道路」のBGMが評価される理由ではないだろうか。

自分はポケモンのフィールドBGMの中でこれが1番好き。

 

チェレンとの対戦、前後のセリフも含めて見れる動画↓

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(概要欄にて埋め込み許可有り)

 

 

※1

続編のBW2ではBWの2年後の世界が描かれ、前作の主人公は所在不明。チェレンはジムリーダー、ベルはポケモン博士を目指している。

新たな主人公が最初に道路に出るシーンで、案内役のベルから以下のような台詞がある。

 

ベル『なんだか あのひの
1ばんどうろを おもいだしちゃうな』

 

 

※2

ポケモンBUMP OF CHICKENとのコラボMV『GOTCHA!』では、1:00付近でチェレン、ベルと共にいるBW主人公(女)が、2年後にBW2主人公(男)に変わる(チェレン、ベルは身長が伸びる)シーンが一瞬だけ現れる。

MVの中ではレッドとのシロガネ山の決戦に匹敵する、ファンにとってかなりの感動ポイント。

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※3

人気の証明として、『大乱闘スマッシュブラザーズ for WiiU』では『10番道路』アレンジ版が収録されている。

 

ポケモンポケモンBW